
前回記事に引き続き、25年超にわたって反社チェックをはじめとするコンプライアンス調査を手掛けてきた当社ディー・クエストが「コンプアライアンスチェック時の新聞記事検索テクニック」を解説する第2回。
前回と同様、担当者の方を悩ます「同姓同名」のノイズをいかに除去するかというものですが、今回は新聞記事特有の仕様である「記者の署名」について。調査対象者の氏名と、記事を執筆している記者の氏名が同姓同名の場合、どのようにすれば効率的に抽出すべき記事だけを拾い出すことができるのか、その技法を伝授します。
調査対象者が「署名記事の記者」と同姓同名の場合の絞り込み手法
調査対象者の氏名が、新聞社で記事を執筆している記者・ライターと同姓同名である場合、一般的な検索手法ではその同姓同名の書き手が執筆した署名記事までヒットし、本来確認すべきリスク情報が完全に埋没してしまいます。
このような特殊なケースにおいてノイズを除外する高度な検索テクニックを、「山田大介」という氏名を例に解説します。
ステップ 1
特定の新聞社への極端な偏りの察知
まずは氏名のみで検索を行います。
検索ワード: 山田大介
検索結果数: 1,627件ヒット(うち、特定の○○新聞記事だけで1,128件がヒット
このように、特定の新聞社・媒体だけで検索結果の過半数が占められている場合、対象氏名である「山田大介」と同姓同名の記者が存在している可能性(署名記事ノイズ)を疑う必要があります。
ステップ 2
ネガティブワード付与時のノイズ確認
リスクキーワードを掛け合わせます。
検索ワード: 山田大介 AND 逮捕
検索結果数: 97件ヒット(うち、該当の○○新聞だけで59件がヒット)
山田大介記者が執筆した事件・事故に関する記事などが「逮捕」というキーワードに反応してヒットしてしまい、依然として記者の記事がノイズとして残ります。
ステップ 3
署名パターンを除外する複雑な「検索式」の適用
ノウハウ1とは異なり、ここでは調査対象者と署名記者がまったくの同姓同名であるため、「山田大介容疑者」などの検索ワードでも、ノイズを除去することはできません。では、どのようにして、署名記事のノイズを除外すればよいのでしょうか。
そこで注目すべきなのが、記者の署名部分の「表記パターン」です。というのも、新聞社・媒体社によってパターンはまちまちですが、多くの場合、(丸カッコ)や【隅付きカッコ】、あるいは等号記号(=、イコール)で署名記者の氏名を記事に記載しています。
ですので、記者の署名部分の表記パターンを解析し、それらを除外する論理検索式を設定します。
検索式: 山田大介 AND 逮捕 NOT ( (山田大介) OR (山田大介 OR 山田大介) OR 【山田大介】 OR 【山田大介 OR 山田大介】 OR =山田大介 )
検索結果数: 49件ヒット
なお、上記論理式内の「逮捕」の部分を、調査内容に応じて「起訴」「検挙」「手配」等の関連キーワードに差し替えて検索を実行します。
このように、新聞記事特有の署名表記フォーマットを排するロジックを組むことで、同姓同名記者の執筆記事を一括して除外することが可能となります。
実務における課題:自社内で検索ロジックを運用することの限界
前回記事と合わせて紹介してきたテクニックは、当社が長年の調査実務の中で体系化してきたノウハウのほんの一部です。
一見すると、「この検索式を使えば自社でも効率化できる」と思われるかもしれません。
しかし、実際の企業のコンプライアンス実務においては、以下のような自社運用上の課題や限界が存在します。
1. 媒体・記事パターンに応じた「検索式の調整」に膨大な工数がかかる
新聞社やデータベースによって、記者の署名表記規則(カッコの種類、ハイフン、全角半角など)や記事構造は異なります。対象者ごとに異なる署名パターンや表記揺れを分析し、都度最適な論理演算式を組み上げる作業自体に、多大な時間と専門知識を要します。
2. 検索式を絞り込みすぎることによる「見落としリスク」
検索式を複雑化・厳格化しすぎると、本来確認すべき「対象者の事件報道」まで誤って除外してしまう懸念が生じます。高度な検索式を扱うには、「ノイズを削りつつ、漏れを出さない」絶妙なパラメーター調整を行う高度な熟練度が求められます。
3. 最終的な「同姓同名の選別作業」は手作業として残る
いくら高度な検索式を適用してヒット件数を数十件まで絞り込んだとしても、最終的に残った情報が「取引先・役員本人」なのか、「同姓同名の完全な別人」なのかを判別するのは、実は容易ではありません。
生年月日、過去の経歴、住所地などの客観的情報を別途収集し照合する人間による目視精査が不可欠です。
ディー・クエストへ委託する圧倒的なメリット
新聞記事検索におけるノイズ削減は、正しいノウハウと高度な検索技術によって大幅に効率化することが可能です。
しかし、それを自社内で手作業・試行錯誤しながら運用し続けることは、見落としや誤認のリスクも含めて、コンプライアンス担当者の方にとって依然極めて大きな負担となるでしょう。
- 「新聞記事検索のヒット数が多すぎて確認が終わらない」
- 「同姓同名の判別に不安があり、専門機関の精度の高い報告書を活用したい」
とお考えの際は、ぜひ当社ディー・クエストへご相談ください。
当社の調査サービスをご利用いただくことで、こうした高度な検索ロジックの構築から選別作業まで、すべての工程をアウトソーシングすることが可能です。
25年超の実績に基づく確かな専門性と調査力で、貴社の業務効率化とコンプライアンス管理を支援いたします。
ディー・クエストが提供する支援の特徴
自社での手動確認作業に課題を感じた際、自動検索ツールやデータベースのみを提供するサービスの導入を検討することもあるでしょう。
しかし、検索結果の精査や最終判断の手間が社内に残ってしまうことが往々にして起こり得るのが実情です。
当社ディー・クエストでは、ご担当者様の確認作業の手間を削減し、適切なリスク管理体制を構築するための4つの特徴を備えています。
ディー・クエストの主な特徴
① 専門調査員の目視精査によるノイズ情報の整理
他社の自動検索ツールとの決定的な違いは、検索結果をそのままお客様へ丸投げしない点にあります。
AI(人工知能)やツールによる機械的な検索では、同姓同名の別人や無関係な記事など、大量の「ノイズ情報」が抽出されてしまい、最終的な選別作業はお客様側に委ねられてしまいます。
ディー・クエストでは、抽出されたデータに対して専門の調査員が1件ずつ目視精査を行い、無関係なノイズ情報の除去を事前に行った上でご報告します。
お客様側で膨大な情報を確認・判別する手間が一切かからず、業務負担を大幅に削減することが可能です。
② 基本的な反社チェックから深掘り調査・海外調査まで幅広いサービス展開
一般的なITベンダーの反社チェックシステムは「日常的な簡易検索はできても、懸念案件が発生した際の深掘り調査や海外企業の確認に対応できない」という限界があります。
ディー・クエストでは、日々の基本的な反社チェックにとどまらず、懸念案件に対する訴訟歴・破産歴等の詳細確認や、専門調査部による「深掘り調査(バックグラウンドチェック)」、さらには国境を跨ぐ「海外調査」まで幅広く対応しています。
取引先のリスクレベルや状況に応じた柔軟な調査を、当社1社で完結してご依頼いただくことが可能です。
③ 複数の部署で横断管理が可能「全社的な運用・一元管理のしやすさ」
営業部、購買部、総務部、法務部など、部署ごとに反社チェックを実施する場合でも、社内での一元管理や運用ルールの統一が容易に行えます。
担当部署ごとの利用状況や調査履歴を可視化・集約できるため、部署間での重複調査による無駄なコストを防止しつつ、全社的なコンプライアンス水準の平準化と管理工数の削減を同時に実現します。
④ 売り切りではない、貴社の体制に合わせた「伴走型コンプライアンス支援」
システムのアカウントを渡して終了する売り切り型のビジネスモデルとは異なり、お客様ごとのコンプライアンス運用に深く寄り添います。
数千件規模の大量一括調査(バルク調査)の計画策定から、調査したい対象に応じた、調査条件のカスタマイズ、報告書の運用方法のご案内まで、個別事情に応じた柔軟な運用構築を支援いたします。
ディー・クエスト コンプライアンス調査事業部
「ヒューマンリスクマネジメント」に特化したコンサルティングファーム、ディー・クエストにおいて2000年より企業調査事業を展開。高度なコンプライアンス経営を求められる企業・団体に対して、リスクの外部要因対策となるコンプライアンスチェックを提供している。日常・定期的な取引先チェックから深く掘り下げた詳細調査、海外調査まで、顧客ニーズに応じてワンストップでサポート。2025年からはサービスを「riskeyシリーズ」に統合、コンプライアンス経営支援をさらに強化している。
